犬の3大内分泌疾患といえば、クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)、甲状腺機能低下症、糖尿病ではないかと思います。症例の数だけでいえば、甲状腺機能低下症が一番多いのではないでしょうか。
クッシング症候群は500頭に1頭くらいと言われていますが、甲状腺機能低下症はそれよりも多いと実感しています。
年齢を重ねるごとに、犬も少し食欲が低下したり、あまり動かなくなったり、免疫力が低下したりと色々とボロが出てきます。
そこで今回は実際に甲状腺機能低下症と最近診断した症例のお話をしていきたいと思います。
※「犬 甲状腺機能低下症」と検索すると大体どのサイトもありきたりな原因、症状、治療法など書いてありますので、一般的な内容は検索してみてくださいね!
犬の甲状腺機能低下症は治る病気ではなく、生涯ホルモン剤の補充が必要になります。
【少しだけ解説】甲状腺機能低下症って?
犬の喉あたりに甲状腺という甲状腺ホルモンを分泌している器官があります。甲状腺ホルモンは、全身の代謝にかかわっており、甲状腺をすべて摘出すると、甲状腺ホルモン剤の補充なしでは生活できなくなります。
甲状腺ホルモンの分泌が低下することで様々な症状を出すわけですが、一般的にホルモンの補充は永久的に必要です。もちろん、原因にもよりますが、ほとんどの犬の真の甲状腺機能低下症は治る病気ではないということです。
みなさんに知っておいてほしいことは、甲状腺ホルモン(T4)の低下だけでは、甲状腺機能低下症と診断できないことです。
獣医師はなにをみて甲状腺機能低下症を疑う?
上記で述べたように、犬も人と同じように年をとります。そして、老化の速度は人よりも何倍も早いです。そのため、2,3か月前は大丈夫だったのに、最近、寝てばかりいる、食欲がムラがあるなどの症状で来院される方は多いです。
そんな中で、私が甲状腺ホルモンが低いかも?と疑うポイントをいくつかご紹介します。
・一般状態はほとんど変わらないが、健康診断でごく軽度の貧血がある
・鼻先、尻尾あたりの毛が薄くなっている
・心拍数がいつもよりゆっくりしている
などなど
上記の身体検査などが、私が特に注意してみているポイントです。
このようなケースでは、甲状腺ホルモンが低下してきている可能性があるかもしれませんというお話をして、念のため甲状腺ホルモン検査をしませんか?と提案することが多いです。
上記の例では、いずれも甲状腺ホルモン値が低く、「甲状腺ホルモン値の低下による症状」と診断して、甲状腺ホルモンを補充しました。
その結果、いずれの場合でも症状の改善が認められました。
甲状腺機能低下症の診断は?
大事なことは、そのほかの病気がないかしっかりと検査をすることです。甲状腺ホルモンはその他の病気に引っ張られることが多く、「偽の甲状腺機能低下症」もあります。
そのため、必ず全身的な血液検査、画像検査(レントゲン検査、超音波検査など)を実施し、その他の異常がないことを確認します。
甲状腺機能低下症は、ホルモン値をみるまで病気がみえてこないのです。
実際の測定項目ですが、私はTSH(甲状腺刺激ホルモン)と、T4(甲状腺ホルモン)の2つは絶対に測定するようにしています。
なぜかというと、先に述べたようにT4(甲状腺ホルモン)は、その他の病気があると下がることが多いのです。その場合、真の甲状腺機能低下症ではないかもしれない子にホルモンを補充することになってしまいます。
犬で一番多い原発性甲状腺機能低下症の場合、TSHは正常よりも高くなり、T4は正常よりも下がります。
治療はやっぱり甲状腺ホルモンを補充・・・
甲状腺ホルモンが低いだけでは、治療対象にならない場合もあります。あくまでも甲状腺機能低下症なので、症状がある場合に補充します。
補充の方法は、薬の投与になります。
犬の場合、錠剤タイプか液体タイプかの2種類あります。
液体タイプは動物用に開発されており、1日1回でよいと言われています。(効果によっては2回与えることも)
体重にもよりますが、大体1か月あたり、5000円前後くらいが多いのではないでしょうか。
しかし、ホルモン剤の補充は生涯必要なため、年間で考えると検査費用等含めて10万円前後かかってきてしまいます。
まとめ
・甲状腺機能低下症は恒例の犬で多い。健康診断に組み込むことをおすすめします!
・気付きやすい症状として、鼻先の脱毛、尻尾の毛が薄くなるなどの皮膚症状も多い。
・甲状腺ホルモンが足りなくなる病気なので、生涯補充する必要がある。
・「偽の甲状腺機能低下症」に注意!!全身的なスクリーン検査をしてくださいね。
甲状腺ホルモンに不安がある方は、ぜひ動物病院に相談をしてくださいね!






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