2021年4月から1年間、どのような理由で病院へ来院したかのデータで、犬が足を挙上しているという主訴は新しい症状での来院理由のトップ10に入っていました。
色々な「足を挙上している」、「足を痛そうにしている」犬をみてきた立場から、みなさんに獣医師の考え方をお伝えしようと思います。
診察室での立ち姿勢で何を判断している?
犬が診察室に入ってくるまでの歩き方、抱っこされた状態から診察台に降り立った瞬間の立ち姿勢などこれらは異常を考える上ですごく大切です。
獣医師としても、ご家庭としても「重症」は回避したいですよね。
足を完全に浮かしている場合は骨折または脱臼している可能性が高いです。
どんなに緊張している子でも、骨折、脱臼をした場合、負重することは困難です。そのため、足を完全に浮かしながら診察室に入ってきた場合には、レントゲン検査をおすすめすることが多いですね。
ちなみにですが、私の経験上、足を完全に挙上していた場合、骨折か脱臼を疑うわけですが、脱臼の方が多いです。
診察室に入ってきた際に、どの足を挙上しているのかわからないケースもあります。そのような場合は、一過性の軟部組織(筋肉、靭帯など)の軽度の損傷のことが多く、触診でもわからないケースが多いです。
触診でも痛みを示さない子の場合、消炎鎮痛剤等を試しに処方することもありますが、何もしなくても改善する子は多々います。
動画を撮れたら、ぜひ獣医師に見せてください!
足を完全に挙上している場合には、だれが見てもわかりますが、どの足かわかりにくい場合や、常に症状がない場合もあります。
そのようなときは、ぜひ動画で記録してみてください。その際のコツとして、前足の異常の場合には、斜め前、正面からの動画撮影を心がけてみてください!
後ろ足の異常の場合には、斜め後ろ、背後からの撮影をお願いします!
最近のスマートフォンはスローモーション機能もついているので、ぜひスローモーションでも撮影をお願いします。
スローモーションにすることで、特に歩幅が短い小さな犬の跛行診断に有益です!!
標準速度とスローモーションでの歩行の捉え方の違いをご覧ください。
両方とも2,3秒の動画ですが、スローモーションの方が足の運び方がはっきりとわかります。
少し不機嫌にみえるのは、寝起きに撮影に協力してもらったからです笑
森を見て木をみる。木を見て森をみる。
私はこの両方を大切にしています。というのも、病気は常に単純ではないからです。
人間であれば、足の裏に小さなものが刺さっていれば、自分の感覚としてわかるかもしれませんが、犬ではわかっていたとしてもそれを伝えることができません。
そのような場合、肉球の間など目を凝らしてみないと足を挙上している原因を取り除けません。
逆に、ある足を挙げているからといって他の足がすべて正常とも限りません。実はすべての足が痛いけど、特にその足が痛いから症状が出ているだけなのかもしれません。
このように考えうるすべての可能性を頭の中で整理しながら診察をしているのです。
まとめ
・犬が足を地面にまったくつけないときは、骨折もしくは脱臼している可能性が高い
・歩き方に違和感があるときは、動画で記録しておくと獣医師に症状を伝えやすいかも
・スローモーション機能などを屈指して異常をより分かりやすく伝えることで異常の解明につながる
犬が突然足を挙げている場合、痛そうにしているなどで不安な方はぜひ動物病院に相談してくださいね!






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