東大宮にある駅前通り動物病院では、歯科治療に特に力を入れています。2,3歳以上の犬の70~80%以上で程度に差はあれど、歯周病があると言われています。
そのため、当院では来院した犬の身体検査でもれなく歯のチェックも同時に行うようにしています。また、子犬では、歯周病治療の一環として歯磨きの大切さをお伝えするようにしています。
今回は、犬の歯の模型を利用して、多数の歯周病治療の経験から「どの歯が悪くなりやすいか」をお伝えしたいと思います。
犬の歯周病治療は全身麻酔で実施することがほとんどです。せっかく全身麻酔をかけて歯周病治療を受けるのであれば、その後のデンタルケアはかなり重要になってきます。
歯周病治療を受ける前に一度目を通してみて下さい!
犬の歯は何本?
まずは犬の歯の基本から。
- 犬の歯は何本ある?
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全部で42本あります。
- どの犬も同じ歯の本数なの?
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小型犬、短頭種の犬は欠歯が存在します。
- 犬の歯の分類は?
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切歯、犬歯、前臼歯、後臼歯の4種類あります。

歯周病になりやすい歯はあるの?
歯周病により、グラグラしてしまうことが多い歯
犬の前歯(切歯)は、歯周病によりグラグラ(動揺)してしまうことが多いです。切歯自体が長細いのと、歯間が詰まっているため歯垢が溜まりやすいことが原因です。
切歯の歯周病が原因で食べられなくなる可能性は低いですが、お隣の犬歯の歯周病が悪化したりするため、動揺している場合には、抜歯の対象になります。
特に小型犬の下顎切歯の歯周病では、左右の下顎をつなぎとめている下顎結合が遊離してしまう子がします。その場合、食べれなくなるなどの症状が出るため、ワイヤー等での固定が必要になることもあります。

しかし、犬の前歯(切歯)は比較的歯磨きがしやすい歯でもあります。犬の上唇をめくることで切歯の歯肉が露出しますので、切歯の歯周ポケットを狙って歯磨きができると効果的です!!
口腔鼻腔瘻になりやすい歯
犬の歯周病では、口の中と鼻が交通してしまう口腔鼻腔瘻になってしまうことも。犬の慢性のくしゃみ、鼻水は歯周病が原因のことも多いです。
詳しい口腔鼻腔瘻のお話は、下記の記事を読んでみて下さい!
この口腔鼻腔瘻ですが、解剖学的に犬歯、第1,2前臼歯の歯周病が原因となることが多いです。
これらの歯ですが、比較的磨きやすいと思います。口を開けようとせずに、犬の上唇と犬歯の間に歯磨きシート、もしくは歯ブラシを滑り込ませるようにいれて磨くと嫌がらずに磨かせてくれることが多いです。
犬歯に触ることができれば、少しずつ後ろに移動するだけでこの2つの前臼歯の歯磨きも可能です。
犬歯と前臼歯は歯の外側は磨きやすいのですが、内側は口を少しあけないと磨くのは困難です。そして、口腔鼻腔瘻の原因になるのは内側の歯周ポケットです。

目の下が腫れてしまう原因になりやすい歯
一見、歯との関連がなさそうなこの症状。しかし、犬の目の下が腫れてくる病気の原因で多いのは歯周病によるものです。
特にこの症状の原因になりやすい歯は上顎の第4前臼歯と第1後臼歯です。多くの場合、これらの歯の歯周ポケットが深くなり、歯の周囲の感染が歯の根っこの方まで波及することで根尖膿瘍を起こします。
詳しくは以下の記事で解説しています!

第4前臼歯は犬の歯磨きでは難しい部位です。しかし、少しコツを掴めば可能です。口を開けて磨くのではなく、唇と歯の間に手も滑り込ませるようにして、歯肉をめがけて歯磨きをしてみて下さい。
目視で歯磨きができるのが理想ですが、口を開けるのを嫌がる子では無理に開ける必要はありません。
歯周病が進行することで下顎骨折の原因になりうる歯
犬の下顎の第1後歯は、特に歯の根っこが深いです。小型犬の場合、この歯の根っこが下顎骨の皮質(硬いところ)まで入り込んでいます。
そのため、この歯の歯周病により、周囲の歯槽骨が溶けると病的骨折を起こしやすくなるのです。

ちなみに第1後臼歯ですが、歯磨きが難しいポイントでもあります。それは、上顎の第4前臼歯と第1後臼歯が覆いかぶさるように並んでいるからです。そのため、第1後臼歯を歯磨きする際には、口を少し開けないと磨くことができません。
個人的なおすすめの磨き方は、犬歯の後ろに指1本分入れることです。そうすることで、下顎の第1後臼歯の歯周ポケットを磨くことが可能になります。


まとめ
歯周病は進行してしまうともとの歯の状態にすることが困難です。現在、人の歯科にならい犬の歯周病の再生治療も行われています。
しかし、費用的にも安くはありません。また、歯磨きができない子だと再生治療の効果も落ちてしまいます。
そのため、「今から」でも遅くありません。犬の歯に興味を持ちませんか?
・犬の歯周病は、重症化すると慢性の鼻炎症状が出たり、目の下が腫れたり、下顎が折れてしまうことがある
・重症化した場合、内科的に治療することは難しく、外科的な対応が必要になる
・重症化しないためにも、歯周病になりやすいポイントを理解したうえで歯磨きをすることが大切!
犬の歯磨きの仕方がわからない場合には、動物病院にご相談ください!
駅前通り動物病院での歯周病治療の特徴
丁寧でわかりやすい治療説明

犬の歯周病治療には全身麻酔が必要であり、気軽に実施できるものではありません。
そのため、治療前に現状考えられる治療内容、治療経過等をじっくりと話したうえで治療に移ります。
これまでの治療経験等も画像や歯の模型等を使ってわかりやすく説明します。
歯科専用器具を完備



高性能超音波スケーリング、歯科用高速ドリル、歯科用レントゲン、歯科用サージカルルーペ等の最先端、最新の歯科専用器具を取り揃えています。
高倍率ルーペ、歯科用レントゲンを導入している動物病院はまだほとんどありません。
質の高い治療

駅前通り動物病院で犬の歯科治療を2021年に開始してから100頭以上の歯周病治療を行ってきました。
また、常に犬にとってより負担の少ないかつ効果的な治療方法を追求し続けています。
ご家族が納得できる、満足できる治療を提供し続けています。
可能な限り、生涯での麻酔回数を減らせるような治療方法をご提案しています。
治療後のデンタルケアサポート

歯のメンテナンスの仕方を必ずサポートします。
いきなり歯磨きを指導するのではなく、まずは顔周りのマッサージから。
徐々にステップアップできるようにアドバイスしています。
一方通行にならないように必ずご家族との対話を大事にしています。
駅前通り動物病院での歯周病治療の流れ
STEP1 診察(口の中、全身チェック)

歯周病治療では、まずは視診を行い、大まかな口の中の状態を確認します。歯の本数や、生え方、動揺の有無、歯石の付着具合、歯肉の炎症の程度、歯肉ラインなどを確認します。
また、あわせて全身の状態の確認も行います。口の中以外の異常がないかを確認します。
この時点で、大まかな治療の内容、治療後のフォローアップ、費用等のお話を丁寧に説明します。
STEP2 麻酔前検査(当日実施)

全身麻酔をかける前の評価を実施しています。これは当日に実施することが多いです。主に、血液検査、胸部レントゲン検査、エコー検査で心臓や肝臓、腎臓等の主要な臓器機能を評価します。
麻酔前検査で明らかな異常が認められなかった場合は、全身麻酔下での歯科処置を実施します。
STEP3 スケーリング&歯科レントゲン検査

全身麻酔をかけたら、まずは口の中を観察します。その際に、歯周ポケットの深さや、歯の動揺の有無を確認します。その後、スケーリングを行い、歯に付着している歯石を除去します。歯石を除去し終わったら、必要に応じて、歯科用レントゲンを撮影します。
歯科用レントゲンは、歯の評価、歯を支えている歯槽骨の評価のために行います。
STEP4 必要に応じて抜歯等の処置

抜歯適応の歯がある場合には、抜歯を行います。抜歯には、歯肉切開をせずに抜く閉鎖法と歯肉切開を行い抜歯を行う開放法の2つがあります。
歯肉切開をせずに済む場合にはあえて歯肉切開は行っていません。どちの方法をとるかは、歯の状態にもよります。
開放法で抜歯をした場合には、歯肉縫合をします。吸収糸で縫合するため、抜糸の必要はありません。
歯科処置後の管理

歯科処置は、基本的には日帰りになります。麻酔後は鎮痛をしっかり行い、帰宅当日の夜からお水とご飯は食べられる状態でお返しするようにしています。
抜歯本数が多い場合や、全身状態に異常がある場合には1泊2日で実施しています。
処置の内容に応じて、今後のご自宅での歯のケアについてアドバイスをさせて頂きます。
歯周病治療の費用の目安
・麻酔前検査:10,000円~
➡血液検査、胸部レントゲン検査(必要に応じて心臓エコー検査、腹部エコー検査)
・全身麻酔代:10,000円~
➡静脈確保、点滴、抗生剤、鎮痛剤等
・スケーリング代:25,000円~
➡歯石除去、ポリッシング等
・抜歯代:10,000円~
➡本数、部位、歯肉縫合の有無により変動
東大宮、大宮、土呂、上尾エリアで歯科処置を検討されている方、ぜひ当院へご相談くださいませ。
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