【獣医師が執筆】犬の脾臓の腫瘍と手術について

獣医師であり、犬の飼い主でもある私の立場からすると犬の健康診断(ドッグドック)を年に2回受けることをおすすめしています。

今回は、犬の脾臓の腫瘍についてお話しようと思います。脾臓は人にもある臓器で、左の脇腹あたりに位置する細長く、平たい臓器です。

聞いたことがあるかもしれませんが、急に走ると脇腹が痛くなる原因?の臓器とも言われています。

急に走ると、体が酸素運搬量を増やすために、脾臓にトラップされている赤血球を脾臓自体が収縮することで、血中に放出しています。

脾臓が縮むときに痛みが出るのではないかと言われています。

そんな脾臓ですが、外からでは状態がわからず、評価するにはレントゲンやエコー検査が必要です。

目次

脾臓のできものはどのように発見するの?

脾臓のできものは、腹部レントゲン検査、もしくはエコー検査をしない限り発見することができません。

というのも、一般的に脾臓のできものが原因で症状が出ることは多くないからです。一部の悪性腫瘍や、脾臓破裂を起こした場合には、症状が出ることはありますが、重症なことが多いです。

というわけで、我々獣医師とご家族にとって一番安心できる発見の仕方は、定期的な健康診断をすることです。

小さい時点で発見できると、いろいろな判断をしていくうえで、考える余力、時間を与えてくれます

黒く抜けているように見えるのが脾臓腫瘍(悪性腫瘍)
正常な脾臓から突出するように見える脾臓腫瘍(良性腫瘍)

脾臓のできものって悪いの?

教科書的には、脾臓のできものの良性・悪性の比率は50%:50%と言われています。

脾臓のできものが良性か悪性かは脾臓を摘出し、病理検査に提出しないとわかりません。

ちなみに、2021年4月から1年間で私自身は5つの脾臓を摘出しましたが、悪性の腫瘍は2つでした。残りの3つは良性のできもの、もしくは過形成という病変でした。

つまり、悪性の確率は40%くらい。半々くらいです。

脾臓のできものは摘出した方がいいの?

脾臓のできものに対するアプローチは2つの意味があります。それは、摘出することでできものがなにかを確定することができる診断的意味と摘出することが治療につながる治療的意味です。

治療には以下の2つの意味合いがあります。

お腹の中で破裂することを防ぐ
➡脾臓のできものは良性、悪性に関わらず大きくなるとお腹の中で破裂する危険性があります。破裂してしまうとショック状態になり、治療のために緊急手術、輸血が必要になります。

悪性のがんだった場合、摘出することで根治できるかも
➡悪性の腫瘍だった場合、治療法は脾臓を摘出することです。そのため、脾臓を摘出することで根治できる可能性があります。腫瘍の種類によっては、抗がん剤などのフォローアップが必要なケースもあります。

摘出した方がいい大きさの目安は、諸説ありますが、直径が2cmを超える場合には、摘出を考えた方がいいと言われています。

東大宮にある駅前通り動物病院では、ソノサージと呼ばれる超音波凝固システムを用いて脾臓の摘出手術を行っています。

脾臓の摘出手術の流れ

症状のない脾臓摘出手術の場合、当院の場合1泊2日で実施しています。

手術難易度としては、摘出手術になりますので、比較的簡単な分類に入ると思います。もちろん、腫瘍の大きさや全身状態などにも左右されます。

当院では、上腹部を開腹し、「ソノサージ」という超音波凝固機械で脾臓に流入する血管を次々に止血して摘出しています。脾臓の大きさにもよりますが、平均15分くらいで摘出することができます。

脾臓を取ること自体に痛みはほぼ出ませんが、お腹を開ける必要があるため、痛みの管理のために1泊して頂いてます。

脾臓摘出の費用ですが、診察代、手術代、検査費用、入院等含めて、150,000円~200,000円前後が多いのではないでしょうか。

症状が出ている場合には、緊急対応や輸血等が必要になりさらに費用がかかります。

まとめ

・脾臓のできものは悪性の確率が50%くらいある!

・良性でも大きくなるとお腹の中で破裂する可能性がある

・脾臓を手術で摘出することで、将来的な破裂予防や、がんを根治できる可能性がある

・エコー検査やレントゲンを撮影しない限り、発見することは困難。定期的な健康診断を!!

自分の子の脾臓にできものがないか不安な方はぜひ動物病院に相談してみてくださいね!

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