動物病院では、犬の膀胱結石の内科的及び外科的な治療を行っています。犬の膀胱結石といっても膀胱結石の種類は様々です。
内科的に溶けるものもあれば、溶けないものもあり、手術が必要な膀胱結石もあります。
しかし、いきなり手術と言われてしまうと、麻酔への不安や、手術自体のリスク、費用面での不安等様々なことが思い浮かぶと思います。
犬の膀胱結石の手術の難易度やリスクに関する記事は以下を参考にしてみて下さいね!
そこで今回は、獣医師の目線で犬の膀胱結石の形と手術推奨度の関係性についてイメージ図を用いながら解説したいと思います。
手術推奨度★★★★★の犬の膀胱結石
手術推奨度が高い犬の膀胱結石は、結石が尿道閉塞を既に起こしているまたは、尿道閉塞を起こす可能性が極めて高い場合です。
具体的なパターンは以下の図のような膀胱結石です。

膀胱の中に尿道の径と同じくらい、または小さいトゲトゲした結石がある場合には、早急な手術をおすすめします。トゲトゲした膀胱結石は、その存在自体が膀胱粘膜を刺激するため、頻尿、血尿の原因になります。
また、男の子の場合、女の子よりも尿道が細く長いため、結石が尿道に詰まり、尿道閉塞を起こすリスクがあります。
トゲトゲした結石が尿道に詰まると、尿道を傷つけてしまい、仮に閉塞を解除できたとしても尿道粘膜が腫れてしまい排尿障害が出るリスクがあります。
そのため、レントゲンや、膀胱のエコー検査でこのようなトゲトゲした結石が多数ありそうな場合には、かなり強く手術をおすすめしています。
ちなみに手術の難易度も高めです。特に尿道閉塞をしている場合には、膀胱内に結石を押し戻せないと尿道切開か、尿路変更手術の必要性も出てきます。
特に小さめの結石が多数あるタイプの膀胱結石は、確実に取り除く必要があり、正確な手順を踏んで手術を実施しないと取り残してしまう可能性があります。
当院では、3倍拡大可能なルーペを使用して、取り残しがないように目視で確認しながら手術を行っています。また、取り残しがないように、尿道カテーテルから生理食塩水を流し込むこと、術後レントゲンを撮ることは必須です。
当院では、膀胱結石の手術後の入院は、基本的には1泊2日で行っています。費用の目安ですが、20~25万円前後くらいになることが多いです。
実際の膀胱結石の見た目については以下の記事を参考にして下さいね!!
手術推奨度★★★★☆の犬の膀胱結石
手術推奨度が高い犬の膀胱結石は、結石が尿道閉塞を既に起こしているまたは、尿道閉塞を起こす可能性が極めて高い場合と上記でお話しましたが、上記の小さいトゲトゲした結石よりも気持ちましな結石の形は以下のイメージです。

結石自体は、丸くツルツルしているタイプですが、尿道を通過できる小さい結石から大きい結石まで多数ある場合も、手術推奨度は比較的高いです。
このタイプは、膀胱粘膜を傷つけにくく、膀胱炎や血尿などの症状で気付くことが少ないです。健康診断等で偶発的に発見されるか、尿道よりも小さな結石が尿道に詰まって始めて気付くパターンもあります。
女の子の場合には、尿道が太く短いため、尿道閉塞を起こす可能性は低いですが、男の子は、尿道が細く、長いため、尿道閉塞を起こすリスクが高いです。
そのため、男の子の場合、尿道閉塞のリスクを減らすために、早めに手術をすることをおすすめします。
このタイプの手術の難易度も高めです。小さめの結石が多数あるタイプの膀胱結石は、取り残しをしてしまう可能性があり、確実に結石をすべて摘出する必要性があります。
当院では、3倍拡大可能なルーペを使用して、取り残しがないように目視で確認しながら手術を行っています。また、取り残しがないように、尿道カテーテルから生理食塩水を流し込むこと、術後レントゲンを撮ることは必須です。
当院では、膀胱結石の手術後の入院は、基本的には日帰りもしくは1泊2日で行っています。費用の目安ですが、先ほどのタイプと同じ20~25万円前後くらいになることが多いです。
手術推奨度★★★☆☆の犬の膀胱結石
上記の膀胱結石は、尿道閉塞のリスクがあり、手術の推奨度は高めでしたが、ここから先の2つのタイプは緊急性及び、手術の難易度は少し低下します。
今回紹介するタイプは以下のような膀胱結石です。

膀胱結石の数がひとつあるいは数個でサイズは、尿道よりも大きく尿道閉塞のリスクはありませんが、トゲトゲしている形の場合です。このタイプは、犬が歩いたり、動いたりした際に、膀胱内を転がるため、常に膀胱粘膜に刺激が加わります。
そのため、膀胱炎のように頻尿になったり、血尿が出たりします。痛み止めを内服すると少し症状が落ち着く場合もありますが、トゲトゲが大きいと症状が強く出る可能性があります。
そのため、本人のQОⅬを考えると、早めに摘出した方がいいと思います。
このタイプは手術の難易度は中等度です。大きめの膀胱結石の場合、あらかじめ数はわかっていることが多いため、取り残し等のリスクは低下します。
当院では、このような膀胱結石の手術でも3倍拡大可能なルーペを使用して、手術を行っています。理由としては、膀胱切開をして、結石を取り出したのちに膀胱粘膜を縫合するのですが、この縫合があまいと術後に傷がくっつかずに、おしっこがお腹の中に漏れ出てしまうことがあるからです。
当院では、このタイプの膀胱結石の手術後の入院は、基本的には日帰り又は1泊2日で行っています。費用の目安ですが、先ほどのタイプとより少し安くなり、20万円前後くらいになることが多いです。
手術推奨度★★☆☆☆の犬の膀胱結石
次に紹介するタイプの膀胱結石は以下のタイプです。

膀胱結石の数がひとつあるいは数個でサイズは、尿道よりも大きく尿道閉塞のリスクはありませんが、表面がツルツルしている場合です。
このタイプは、表面がトゲトゲしている結石よりも膀胱粘膜を傷つける可能性が低く、症状が全くない場合もあります。
しかし、大きくなると、犬が動いたりした際に、膀胱内を転がり刺激されることで排尿回数が増えたりすることもあります。
このタイプは緊急性も手術の意義も他のタイプと比べるとやや低下します。そのため、麻酔がかけられない状態の犬の場合などでは、定期的に結石の形、個数を確認し、経過観察している犬も実際にいます。
このタイプは手術の難易度は低い~中等度です。大きめの膀胱結石の場合、あらかじめ数はわかっていることが多いため、取り残し等のリスクは低下します。
当院では、このタイプの膀胱結石の手術後の入院は、基本的には日帰り又は1泊2日で行っています。費用の目安ですが、20万円前後くらいになることが多いです。
まとめ
膀胱結石で手術を迷っている方がいましたら、ぜひ参考にしてみて下さいね!!
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膀胱結石といってもタイプも形も数も様々です。そのため、手術の推奨度別に今回は犬の膀胱結石について解説してみました!
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