【デンタルガムをあげている方は注意!?】犬の食道内異物と破折について

歯磨きが苦手な犬でも、デンタルガムが好きな子は多いのではないでしょうか。犬はもともと噛むことが大好きなのですし、デンタルガムをガジガジ噛むことで少しでも歯周病を予防できればまあオッケーだと思います。

そんなデンタルガムですが、トラブルを生むことがあるので、一応知っておいてほしいことを今回の記事でご紹介したいと思います。

日頃からガムを与えている方は、ぜひ読んで下さいね!!

目次

デンタルガムが起こすトラブル①~食道内閉塞~

動物病院で勤務していて実際にあった症例をご紹介します!

デンタルガムが食道内閉塞を起こす原因に!?

STEP
犬が急に食欲がなくなり、元気がないとのことで来院

朝までは普段通り食欲も元気もあった犬が、午後から突然食欲も元気もなくなり、水も飲まないとのことで来院されました。

問診では、嘔吐や下痢などの消化器症状もありませんでした。もう少し詳しく話を聞くと、日常的にデンタルガムを与えているとのことでした。

STEP
スクリーニング検査として、血液検査、胸部レントゲン検査、腹部エコー検査を実施

血液検査では炎症反応の数値(CRP)が増加していました。腹部エコー検査では異常はありませんでした。そして、胸部レントゲンでは、「心臓の背中側に白い影」が。

正直、「レントゲンを撮っておいて良かった!」と心の底で思いました。

食道内異物はそれまでにも1例であったことがありましたが、典型的な症状である「吐出、流涎、嘔気」があったため、最初から筆頭鑑別でした。

しかし、上記の典型的な症状がない場合もあると知った貴重な体験です。

STEP
内視鏡で食道内のガムを胃の中に押し込み無事に治療終了

すぐに食道内異物の可能性をご説明し、経過観察ではなく、内視鏡による異物の摘出の必要性を説明し、全身麻酔下で、内視鏡を食道内に挿入しました。

この子の場合、部分的な食道閉塞でした。そして、ガムがそこまで大きくなかったこと、鉗子でつかんでも砕けてしまうくらい脆いことから、胃の中に押し込みました

胃の中に押し込むことへの若干の不安もありましたが、胃酸で溶ける可能性が極めて高いと踏んでの決断でした。

麻酔覚醒も問題なく、その日のうちに退院とし、すぐに元気を取り戻しました。

ちなみに食道内異物の費用ですが、全身麻酔下での内視鏡での摘出が必要な場合、麻酔前検査、処置代合わせて60,000円~くらいです。

※犬の状態や異物の内容により変動します。

デンタルガムが起こすトラブル②~破折~

デンタルガムが起こす可能性があるトラブルの2つ目です!

デンタルガムが歯の破折の原因に!?

犬の噛む力は人の何倍も強いです。特に、犬の犬歯と上あごの第4前臼歯(下あごの第1後臼歯)にかかる力は相当強いことが知られています。

そして、上あごの第4前臼歯と下あごの第1後臼歯は、人間の歯みたいに垂直方向に力が加わらずに、斜め方向に力が加わります。

そのため、硬いガムを噛んだ際にこの第4前臼歯の一部が欠けてしまうことがあります。

赤丸で囲んだのが、第4前臼歯
第4前臼歯と第1後臼歯の嚙み合わせ
人と犬の嚙み合わせの時にかかる力の違い

歯が折れてしまった場合ですが、歯を温存するのであれば、歯医者へと言いたいところですが、犬の歯医者はいませんので、当院では破折の治療を数多くしている動物病院へご紹介しています。

なおどのように歯が折れているかが治療において重要なため、折れたかも?と思ったらすぐに動物病院を受診してくださいね!

なお、費用や諸事情等により、歯を温存しないことを選ぶ場合には、抜歯が適用になります。当院では、エナメル質レベルの破折、抜歯は治療可能ですが、歯の中の治療は実施可能な施設にご紹介しています。

なお、第4前臼歯等の破折で抜歯をする場合の費用ですが、麻酔前検査、処置代合わせて70,000~100,000円くらいが目安です。

※抜歯をする際には、スケーリングも併せて行うため、歯の状態により変動します。

まとめ

犬のデンタルガムは必ず正しい与え方を読んでから!

・デンタルガムは食道内閉塞を起こしたり、破折を起こすリスクが潜んでいる

・食道内異物、破折ともに麻酔下での処置が必要になることが多い

・「いつもあげているので問題ない」は危険な考え方です!リスクを知ったうえで楽しくガムをあげましょう

デンタルガムをあげること自体には問題ありません。正しく与えることで、犬にとってのご褒美、歯周病ケアの一環として活用してくださいね!!

 

駅前通り動物病院での歯周病治療の特徴

丁寧でわかりやすい治療説明

犬の歯周病治療には全身麻酔が必要であり、気軽に実施できるものではありません。

そのため、治療前に現状考えられる治療内容、治療経過等をじっくりと話したうえで治療に移ります。

これまでの治療経験等も画像や歯の模型等を使ってわかりやすく説明します。

歯科専用器具を完備

高性能超音波スケーリング、歯科用高速ドリル、歯科用レントゲン、歯科用サージカルルーペ等の最先端、最新の歯科専用器具を取り揃えています。

高倍率ルーペ、歯科用レントゲンを導入している動物病院はまだほとんどありません。

質の高い治療

駅前通り動物病院で犬の歯科治療を2021年に開始してから100頭以上の歯周病治療を行ってきました。

また、常に犬にとってより負担の少ないかつ効果的な治療方法を追求し続けています。

ご家族が納得できる、満足できる治療を提供し続けています。

可能な限り、生涯での麻酔回数を減らせるような治療方法をご提案しています。

治療後のデンタルケアサポート

歯のメンテナンスの仕方を必ずサポートします。

いきなり歯磨きを指導するのではなく、まずは顔周りのマッサージから。

徐々にステップアップできるようにアドバイスしています。

一方通行にならないように必ずご家族との対話を大事にしています。

駅前通り動物病院での歯周病治療の流れ

STEP1 診察(口の中、全身チェック)

歯周病治療では、まずは視診を行い、大まかな口の中の状態を確認します。歯の本数や、生え方、動揺の有無、歯石の付着具合、歯肉の炎症の程度、歯肉ラインなどを確認します。

また、あわせて全身の状態の確認も行います。口の中以外の異常がないかを確認します。

この時点で、大まかな治療の内容、治療後のフォローアップ、費用等のお話を丁寧に説明します。

STEP2 麻酔前検査(当日実施)

全身麻酔をかける前の評価を実施しています。これは当日に実施することが多いです。主に、血液検査、胸部レントゲン検査、エコー検査で心臓や肝臓、腎臓等の主要な臓器機能を評価します。

麻酔前検査で明らかな異常が認められなかった場合は、全身麻酔下での歯科処置を実施します。

STEP3 スケーリング&歯科レントゲン検査

全身麻酔をかけたら、まずは口の中を観察します。その際に、歯周ポケットの深さや、歯の動揺の有無を確認します。その後、スケーリングを行い、歯に付着している歯石を除去します。歯石を除去し終わったら、必要に応じて、歯科用レントゲンを撮影します。

歯科用レントゲンは、歯の評価、歯を支えている歯槽骨の評価のために行います。

STEP4 必要に応じて抜歯等の処置

抜歯適応の歯がある場合には、抜歯を行います。抜歯には、歯肉切開をせずに抜く閉鎖法と歯肉切開を行い抜歯を行う開放法の2つがあります。

歯肉切開をせずに済む場合にはあえて歯肉切開は行っていません。どちの方法をとるかは、歯の状態にもよります。

開放法で抜歯をした場合には、歯肉縫合をします。吸収糸で縫合するため、抜糸の必要はありません。

歯科処置後の管理

歯科処置は、基本的には日帰りになります。麻酔後は鎮痛をしっかり行い、帰宅当日の夜からお水とご飯は食べられる状態でお返しするようにしています。

抜歯本数が多い場合や、全身状態に異常がある場合には1泊2日で実施しています。

処置の内容に応じて、今後のご自宅での歯のケアについてアドバイスをさせて頂きます。

歯周病治療の費用の目安

・麻酔前検査:10,000円~
➡血液検査、胸部レントゲン検査(必要に応じて心臓エコー検査、腹部エコー検査)

・全身麻酔代:10,000円~
➡静脈確保、点滴、抗生剤、鎮痛剤等

・スケーリング代:25,000円~
➡歯石除去、ポリッシング等

・抜歯代:10,000円~
➡本数、部位、歯肉縫合の有無により変動

例)軽度歯肉炎のみの場合(スケーリング、ポリッシングのみ)
➡50,000円前後~

例)中等度歯周病の場合(スケーリング、歯科用レントゲン、軽度の抜歯)
➡70,000円~

例)重度歯周病の場合(スケーリング、歯科用レントゲン、抜歯多数、歯肉縫合)
➡100,000円~150,000円

東大宮、大宮、土呂、上尾エリアで歯科処置を検討されている方、ぜひ当院へご相談くださいませ。

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