2021年に勤務を始めてから、これまでに異物による腸閉塞と診断した犬と猫は7頭いました。
このうち2頭は胃から続く十二指腸に詰まっていたため、内視鏡で摘出しています。残りの5頭は小腸内で腸閉塞を起こしていたため、手術にて異物の摘出を行っています。
というわけで、今回は犬の腸閉塞について異物を手術で摘出した子についてお話をしたいと思います。
前回は内視鏡で異物を摘出した子の経過を書いています。また、腸閉塞の症状、内視鏡か手術かの判断も書いてあるので、ぜひ先に下記の記事をご覧ください!!

手術が必要な腸閉塞とは?
これまで、様々な犬の誤食に出会ってきましたが、腸は本当にすごいなと思います。
下記で、すごいなと思った実際の例をご紹介します。
・8kgくらいのミニチュアダックスフンドくん
➡梅干しの種を丸飲みするも便とともに出てくる
・5kgくらいのトイプードルちゃん
➡爪楊を誤食するも便とともに出てくる
・4kgくらいのミニチュアダックスフンドくん
➡ウレタンマットを誤食するも便とともに出てくる
・5kgくらいのワンちゃん
➡スマートフォンの充電ケーブルをかみちぎり誤食するも、便とともに出てくる
ぱっと思い出せるものだけですが、一般的に手術が必要になりそうなものも意外と出てくるときは出てきます。
決して様子を見てもいいというわけではありませんので、ご注意ください!!
手術が必要かどうかは、「嘔吐などの症状があり、腸閉塞している客観的な画像所見がある」、「閉塞はしていないが、先端が鋭利なものや腸粘膜を障害する恐れがあるものを誤食した可能性がある」等が判断基準となります。
腸に異物が詰まった時の治療の流れと費用について
腸閉塞してから、比較的早期に来院されたため、全身状態は問題ありませんでした。問診では、ごみ箱を漁っていたとのこと。
ご家族の情報をもとに異物による腸閉塞の可能性があるため、腹部エコー検査を実施。小腸に異物による閉塞所見を認める。

全身麻酔下にて、開腹手術を実施。小腸内に異物を認め、腸を一部切開して、異物を摘出。今回は果物のタネでした。腸を縫合して手術終了。
腸切開をした場合、当院では5日程度入院して頂いています。これは、術後の最悪な合併症である「縫った部分が開いてしまう=離開」が5日前後で起きやすいためです。
異物による腸切開の場合、腸の粘膜の状態がよっぽど悪くなく、手技的問題がなければ、開いてしまうことはほぼないと思います。
術後24時間くらいから水、流動食からはじめて、3日目からウェットフードにし、1週間後からドライフードにしてもらっています。
ちなみに手術で異物を摘出した場合の費用ですが、当院では麻酔前の検査、手術費用・入院代含めて、150,000円~ぐらいが相場です。
※本人の一般状態や異物の内容によって変動します。
まとめ
・犬が異物を食べたかもしれないと思ったら、すぐに動物病院へ!催吐処置で事なきを得ることができるかも
・腸閉塞の診断は、腹部レントゲン、腹部エコー、場合によってはバリウム検査がある
・腸閉塞の治療法は、内視鏡もしくは、手術で摘出する
・手術の場合、腸切開することが多い。術後5日程度は入院が必要
異物を食べたかも?と思ったらすぐに動物病院へ!時間が経過するにつれて腸閉塞するリスクが高まります。不安な方はぜひ動物病院に相談してくださいね!
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