動物病院では日々犬の誤食に対する治療を行っています。
今回は犬が誤食したときにご家族がとるべき対応について書いていきたいと思います。誤食に関するお問い合わせは日常的なものです。
そんな経験をもとに、誤食したかもしれない!という時に取るべき対応について簡単に説明していきます。
ちなみに2021年に勤務を開始してから、誤食は1歳前後が一番多いです。10歳を超えるワンちゃんでは比較的まれかなと思います。
誤食を疑ったらまずはすること
英語の授業ではありませんが、誤食を疑ったらまずは以下のように考えてください!!
・WHAT?(なにを食べた?)
➡これは何よりも重要です。食べたものと量が重要です。写真、商品名が分かるとなお良いです!!
・HOW?(どのように食べた?)
➡かみ砕いて食べたのか、丸呑みしたのかなど
・WHEN?(いつ食べた?)
➡食べてすぐなのか、留守中に食べたのかなど
誤食した際、慌ててしまうお気持ちはわかりますが、すべての誤食が危険なわけではありません。まずは冷静に状況を把握し、すぐに動物病院へ連絡しましょう!!
幸い動物病院は電話の問い合わせでお金が発生することはありませんので、遠慮せずに問い合わせをしてくださいね!!
動物病院での対応は?実際のケースとともに
動物病院での対応は、以下の4通りです。
・経過観察(内服薬処方も含む)
・催吐処置
・内視鏡(異物の摘出、胃洗浄)
・手術(異物の摘出)
ちなみに経過観察と催吐処置で90%くらいなイメージです。経過観察と催吐処置は半々くらいですね!
経過観察をするとき
誤食をしたものが中毒を起こすものではなく、腸閉塞を起こすリスクもない場合。
うんちで出てくる可能性が高い場合には何もしない場合があります。
実際の例)
携帯等の充電コードを細かく嚙みちぎった犬➡レントゲン検査ですでに大腸に到達していたため経過観察
催吐処置をするとき
誤食をしてすぐに病院を受診し、誤食したものがまだ胃の中にあると思われる場合。様子をみると腸閉塞を起こす可能性がある場合。
誤食してから2~3時間が目安です。
実際の例)
・ウレタンマスクを丸呑みした犬➡催吐処置にて異物を回収
・袋にはいったパンを丸呑みした犬➡催吐処置にて異物を回収
などなど
内視鏡をするとき
腸閉塞を起こすリスクがあるものを誤食した場合で、催吐処置をしたが異物を回収できない場合や、催吐処置が禁忌なものを誤食した際に胃洗浄をする必要がある場合。
これまでに内視鏡で摘出ができずに手術が必要になった犬はいません。
実際の例)
・タバコの吸い殻を誤食➡吸収されると中毒を起こすリスクがあるため胃洗浄を実施
・プラスチック製のものを誤食、頻回の嘔吐症状あり➡幽門に閉塞している可能性があったため、内視鏡下にて摘出
などなど
手術をするとき
誤食したものがすでに胃や腸に閉塞している場合。内視鏡で摘出することが困難な場合。このパターンはまだほとんど経験したことはないです。
実際の例)
・つまようじを大量に誤食➡一部がすでに小腸まで流れており、数も多かったため手術にて胃及び腸を切開し異物を回収。
など
まとめ
・誤食は1歳前後が多い
・誤食した場合には、what?how?when?をできる限り詳しく!
・誤食の対応で一番多いのは経過観察と催吐処置。90%がここまでで事なき得ます!
・100%予防は困難。「中毒性のあるもの」、「腸閉塞を起こしそうなもの」は可能な限り排除しましょう!!
犬が誤食した場合には、すぐに動物病院に連絡を。夜間の場合には、夜間救急に連絡を!!
犬が誤食をした場合、どうしていいか不安な方はぜひ動物病院に相談してくださいね!!
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