東大宮にある駅前通り動物病院では、犬の尿石症の治療を内科的、外科的に行っています。また、尿石症にはフードも深く関わってくるため、日々の食生活に関してもアドバイスを行っています。
健康診断の尿検査や、膀胱炎などの症状から尿石症と診断されるケースは比較的多いと思います。そんな犬の尿石症ですが、診断されて尿石症用のフードに変更し、治療を行ったあとみなさんはどうされていますか?
そのまま尿石症用のフードを食べ続けていますか?それとももとの食事に戻していますか?
今回はそんな疑問に獣医師が回答していきたいと思います。
犬の膀胱結石の見た目については以下の記事を参考にして下さいね!!
犬の尿石症といえば?
犬の尿石症の2大有名成分と言えば、以下の2つです。
・ストラバイト
・シュウ酸カルシウム
教科書的なお話をすると、ほぼ半々くらいの割合と言われています。
臨床的なお話をすると、「一番最初に尿石症と診断される成分はストラバイトが多い」と思います。ミニチュアシュナウザーに関しては、犬種特異的にシュウ酸カルシウムが多いです。
※尿の結晶形成リスクを予測するのに使用されているRSS(相対過飽和)という指標では、RSSが高いほど結晶形成のリスクが高く、低いほどリスクは低いことが知られています。
上記の数値より、ストラバイトの方が飽和から過飽和までの数値が小さく析出しやすいと考えられています。
そのため、犬の尿石症で最初に診断される成分は「ストラバイト」が多いのではないかと考えています。
犬のストラバイト結石の治療法は?
犬のストラバイト結石の治療法ですが、細菌感染症を伴う場合には抗生剤を使用します。細菌感染がない場合には、ストラバイト用の療法食がありますので、そちらを使用します。
ストラバイト用の療法食ですが、ストラバイトが形成されにくい弱酸性になるようにミネラルが調整されています。また、ストラバイトの成分の一つであるマグネシウムを制限しています。
この療法食を食べることで、大きさにもよりますが結石ができている場合、2週間~4週間くらいで溶解します。結石ができておらず、結晶のみの場合は比較的早期に尿検査でストラバイト結晶が消失します。
ストラバイト結晶に関しては、健康診断の尿検査で偶発的に発見されることもあるくらい比較的多く遭遇します。
犬のストラバイト用フードはいつまで続ければいいの?
一度、ストラバイト結晶や結石になったことがある犬では、療法食で溶解した後も食べ続ける必要があるのでしょうか?
個人的な意見としては、「治療が終了したら、再発に注意する必要はあるが、食べ続ける必要性は低い」と考えています。前述したようにストラバイトは比較的析出しやすい結晶です。
しかし、治療で完全にストラバイトが消失したのであれば、それ以外のフードを食べても問題ないと思っています。ストラバイトが出やすいと言われている条件には注意してください。
・尿がアルカリ化に傾きやすいのは野菜や海藻類
・高タンパク食はストラバイト結晶のもとになりやすい
・水分量摂取量が少ない犬は尿が濃くなやすく結晶が析出しやすい
療法食からいきなり元のフードに戻すのに抵抗がある場合には、サプリメントを使うのも一つです。
私個人が考えるストラバイト結石(結晶)の治療後の方針をご紹介します。
ストラバイトが消失してすぐに食事を変更すると、再発のリスクがありますので、尿検査で結晶等が消失してから1か月は療法食を継続してください
尿比重が濃いと過飽和になりやすいため、比重を薄くすることが重要です。水分摂取量を増加させるには、水飲み場を増やす、飲水を勧める回数を増やす、適度な量の野菜やゆでたお肉やそのゆで汁を与えるなどの工夫が大切です。
ストラバイト用の療法食から変更したら、1か月後に必ず尿検査、画像検査を行ってください。この時点でストラバイト結晶が析出していると再度療法食を食べる必要があります。
尿検査でストラバイトが出ていなければ、その後は間隔をかけて定期的に尿検査、レントゲン、エコー検査を行ってください。
犬のストラバイト用の療法食を続けることのデメリットは?
もともとストラバイト用の療法食はストラバイトを溶解させるためにミネラル等の成分を調整してつくられていました。しかし、ストラバイト用に特化したためか、それとも食生活の変化のためかシュウ酸カルシウムの割合が近年増加してきています。
そのため、最近の尿石症用フードは、「ストラバイトとシュウ酸カルシウムに配慮した」フードとラベル等に記載されるようになっています。
しかし、臨床的なお話をすると、ストラバイト結石の犬で、尿石症用のフードを食べ続けていたことでシュウ酸カルシウム結石が出てしまう可能性も否定できません。
ここ最近膀胱結石の手術をした犬は、どちらもシュウ酸カルシウムでした。そして、どちらの犬も以前にストラバイトによる尿石症になっており、その後ロイヤルカナンのユリナリー系のフードを食べ続けていました。
ちなみにストラバイト用の療法食とシュウ酸カルシウムの関連性ですが、ストラバイト用のフードが尿を酸性化すること、マグネシウムを制限していることがシュウ酸カルシウム結石を形成しやすくしているのではないかと考えられています(マグネシウムには、シュウ酸カルシウム結石の予防効果がある可能性あり)。
そのような実体験もあり、私個人の意見としては、ストラバイト用の療法食を永久的に続けることに関しては疑問を抱いています。
シュウ酸カルシウムに関しての詳しいお話はまた別の機会に解説します!!
まとめ
・犬のストラバイト結晶、結石に尿石症用のフードは効果がある
・ストラバイト結晶、結石ができても適切な治療、尿石症用フードへの変更により完治は可能
・ストラバイト結晶、結石の治療後には、定期的な検査を行いながら尿石症用以外の食事に変更しても良い
・尿石症用のフードを続けているとシュウ酸カルシウムになりやすくなる可能性もあるため、必ず獣医師の指示に従うようにして下さい。
尿石症用のフードで不安がある、悩みがある方はぜひ一度動物病院へ相談してみてくださいね!
駅前通り動物病院では医療機器を完備
血液検査機器
各種血液検査機器を完備しているため、院内で血液検査を実施できます。15分前後で結果がでるため、スムーズに治療に移ることができます。
デジタルレントゲン検査機器
デジタルレントゲンシステムを導入しているため、撮影からデータの描出まで、数分で終わるため、スムーズに治療に移行することができます。
歯科用デジタルレントゲン装置
2022年の秋に新たに歯科用デジタルレントゲンを導入しました。増加する歯周病の治療成績をより向上させるために、また客観的な情報を提供するために役立ちます。
高性能サージカルルーペ
歯周病治療などの際に、徹底的な歯周ポケットの洗浄、歯石除去やより質の高い治療を実現するために2022年10月に導入。
超音波検査機器
超音波検査により、お腹の中の臓器を評価したり、心臓の構造・機能を評価したりすることができます。プローブを当てるだけなので、痛みもなく動物たちのストレスを最小限に検査ができます。
内視鏡装置
犬の場合、内視鏡は全身麻酔をかける必要があります。しかし、お腹を開けることなく、食道、胃の中、十二指腸などを観察することが可能です。また、鼻の中や、喉の奥も観察することが可能です。
歯科用ユニット
3歳以上の犬の70-80%が歯周病と言われています。そのような背景の中、当院では歯周病の治療に力を入れています。より短時間で歯周病治療を実施できるように歯科用ユニットを導入しています。
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