【獣医師が執筆】犬の食物アレルギーに効果的な市販フードはある?

東大宮にある駅前通り動物病院では、犬の食物アレルギーの診断・治療を行っています。厳密な食物アレルギーの診断には、血液検体によるアレルゲン特異的IgE検査、リンパ球反応検査を行うことが多いですが、検査費用は3万円以上かかってきます。

そのため、費用的な問題がある場合や、症状が軽い場合には、説明をした上で、検査をせずにアレルギー療法食にしてもらったり、市販のフードでも成分に注意してフードを選択してもらうことがあります。

そこで今回はインターネット等で販売されているフードの中で、食物アレルギーに効果的?なフードをご紹介してみます。

目次

犬の食物アレルギーとは?

摂取した食物が原因となり、免疫学的機序(体を守る働きを免疫と言います)を介して皮膚症状(主に痒み)、消化器症状(嘔吐・下痢)などの症状が起こることを食物アレルギーといいます。

アレルギーは免疫反応が過敏に起きてしまうことが原因で、体にとっては、異物を排除するためのメカニズムの一つです。

そのため、理論上はすべての動植物由来のタンパク質が原因となります。

また、食物アレルギーとよく混同されるものに食物不耐症があります。食物アレルギーはその食物自体はなにも悪さをしません。免疫学的な機序が原因で、様々な症状が起きます。

一方、食物不耐症は、その食物自体を体質的に分解できない(人の乳糖不耐症など)ことで消化器症状がみられます。

犬の食物アレルギーを疑う皮膚の症状は?

皮膚の症状といっても様々です。食物アレルギーの場合、必ず痒みを伴います。痒みを伴う皮膚炎の原因は多岐にわたります。また、アトピー性皮膚炎が食物アレルギーに併発している犬もいます。

そんな中でも特に、我々獣医師が食物アレルギーかもしれないと疑う症状は以下の通りです。

皮膚炎が顔、背中、お尻回り、手足の指の先にみられる

1歳未満で発症する

症状発症に季節性がない(1年中症状がある)

1日の排便回数が3回以上

皮膚炎が顔周りにあり、特に目の周りや、口の周りを掻いたり、こすりつけたりしている場合には、食物アレルギーによる痒み症状かもしれません。

背中の痒みの場合、後ろ足で引っ掻く動作だけでなく、絨毯に背中をこすりつけたりする犬もいます。お尻回りの痒みは肛門腺のトラブルでも起きますので、必ず獣医師に症状を見てもらうようにしてくださいね!

食物アレルギーも症状が軽度の場合、病的な痒みなのか生理的な痒みなのかわからない場合もあります。迷ったら獣医師に見せてくださいね!

犬の食物アレルギーを疑う消化器症状は?

食物アレルギーによる消化器症状には、嘔吐と下痢があります。

若い時から慢性的に、断続的に嘔吐・下痢を繰り返す

食後1時間以内に嘔吐する

1日の排便回数が3回以上

食物アレルギーの機序により、嘔吐がメインか、下痢がメインかに分かれます。下痢、嘔吐などの消化器症状は、犬の病気の中でもトップクラスに多い症状であり、鑑別診断がなによりも重要です。

犬の食物アレルギーの治療は?完治するの?

食物アレルギーの検査と治療法は?

食物アレルギーの治療はシンプルで、アレルギーの原因となっている食物が含まれていないフードを与えることです。

この際に、食物アレルギーの検査は重要な役割を果たします。食物アレルギーには、IgEが関与するタイプとリンパ球が関与するタイプの2種類があります。

犬の場合、リンパ球タイプの方が多いと言われており、70%くらいがこのリンパ球タイプです。

・IgE検査をすることでIgEが関与する食物アレルギーを検出することができます

・リンパ球反応検査をすることで、IgEが関与しない食物アレルギーを検出することができます

また、それぞれの検査に、主要食物アレルギーパネルと、除去食パネルがあります。これらの意義は以下の通りです。

食物アレルギーの原因を知りたい➡主要食物アレルゲンパネル

食べてもよい食物を見つけたい➡除去食アレルゲンパネル

理論上はアレルギーの原因の食物を除去したフードを食べることで、症状は落ち着きますが、痒みの症状が強い場合には、一時的にステロイドを使用したりもします。

また、下痢、嘔吐に関しても一時的に制吐剤や整腸剤を内服して対症療法をします。

一般的に皮膚の症状の方が消化器症状よりも改善するのに時間がかかると言われています。そのため、効果判定するには1か月間はアレルギーの原因が除かれたフードを食べる必要があります

食物アレルギーは治るの?

人間の場合、乳児の頃に発症した卵、牛乳、小麦、大豆アレルギー等は成長とともに治ることもあると言われていますが、犬の場合、まだ臨床データがまとまっておらず、現在のところ犬の食物アレルギーは治らないと考えた方がいいかもしれません。

ただ、1歳未満で発症した食物アレルギーで、数年後に再度アレルギー検査をしてみる価値はあると思います。特に牛肉などのアレルギーがでた犬では、生涯牛肉が食べらないのも可哀想な感じがしますので、調べる価値はあります。

この辺は研究結果がまとまると我々獣医師としても嬉しいですね。

犬の食物アレルギーの原因は何が多いの?

犬の食物アレルギーの原因としてはどのようなものが多いのでしょうか。基本的には食物アレルギーが成立するためには、以前にその食事に体が暴露されている必要性があります。

そのため、食物アレルギーの原因として多いのは、ドッグフードに使用されることが多い食物ということになります。ほとんどのドッグフードの主成分は、チキンかビーフ、小麦です。

少し昔の報告になりますが、以下に食物アレルギーの原因を載せておきます。

犬の食物アレルゲン反応が報告された割合
牛肉34%
乳製品17%
鶏肉15%
小麦13%
大豆6%
ラム肉5%
トウモロコシ4%
4%
豚肉2%
2%
2%
出典:BMC Veterinary Research

このようにしてみると、やっぱりというべきか、牛肉、乳製品、鶏が上位に来るのも納得ですね。当院でも食物アレルギーの検査を実施していますのが、やはり牛肉(ビーフ)は食物アレルギーの原因としてトップです。

もちろんこれ以外にも食物添加物なども食物アレルギーの原因になりえます。そのため、食物アレルギー検査も絶対的なものではありません。

そのため、食物アレルギー検査を受けたいという場合には、必ず獣医師とよく相談するようにしてくださいね!

犬の食物アレルギーの予防はできる?

犬の食物アレルギーのエビデンスのある予防方法は、現状まだはっきりとはわかってはいません。ヒトの場合は以下のようなことが言われています。

・離乳食を遅らせすぎない

・食物除去をしすぎない

・アトピー性皮膚炎との関係をよく知る

犬の場合、ミルクから離乳食への移行は比較的早いと思いますので、離乳食が遅くなりすぎることはないと思いますが、2番目の食物除去をしすぎない点に関しては注意が必要です。

ほとんどの方が、1つのドッグフードを離乳食から与えていると思います。ヒトでは、いろいろな食物を早めに食べたほうが食物アレルギーを発症しづらいともいわれています。

そのため、私自身は子犬の頃から3種類のフードをローテーションで与えるようにしていました。また、原材料がなにかも重要です。必ず成分表を確認して最低限主要なタンパク源だけでも確認するようにしましょう。

また、犬でもアトピー性皮膚炎というものがあります。アトピー性皮膚炎は食物アレルギーの原因になることがあります。そのため、食物アレルギーかも?と思っても必ず獣医師の診察は受けるようにしてくださいね!

犬の食物アレルギーが出にくいフードはあるの?

一般的なドッグフードの主要な原材料はビーフ、チキン等ですので、理論上はそれ以外のタンパク源のフードが食物アレルギーの治療に使われます。

犬の食物アレルギーの除去食に使われる原料には以下のようなものがあります。ぜひ参考にしてみて下さい!!

・羊肉
・馬肉
・七面鳥
・アヒル
・サケ
・タラ
・えんどう豆
・ジャガイモ
・米

動物病院でご紹介することの多いのは、ロイヤルカナンとヒルズのフードです。これらのメーカーの場合、「ダック、ポテト、タピオカ、フィッシュ」などが除去食の材料として使用されることが多いです。

PETOKOTO FOODSのフィッシュ

特にフィッシュの中でも白身魚はアレルギーの原因になりにくいと言われていますので、白身魚は除去食としてもおすすめです。

国産メーカーである「PETOKOTO FOODS」から出されているフィッシュは白身魚であるスケトウダラを主成分としており、食物アレルギーにも配慮されているのでおすすめです。こちらはウェットタイプのフードになります。

レルギーの多い肉類や卵は使わず、高タンパクな白身魚「スケトウダラ」を使用。食物アレルギーに不安があるワンちゃんにもおすすめです。しっとりとした食感が特徴で、つみれのように新鮮で芳ばしい香りが食欲をそそります。
原材料の99%以上に自然食材を使用し、素材本来の味や香りが楽しめます。水分量が多く血液循環が良くなることで良い毛艶を保ちます。おしっこが増えることで、健康な子が尿石になるリスクを減らすことも期待できます。

PETOKOTO FOODS公式サイトより

PETOKOTO FOODSのさらに詳しい解説はまた別の記事でしたいと思います!

ドッグフードおさかな

もうひとつの市販フードですが、株式会社金虎から出されている国産ドッグフードおさかながあります。こちらはカツオとマグロを主原料としており、こちらもアレルギーに配慮したドライフードになります。

他にも食物アレルギーに配慮したフードは多数ありますので、また別の機会のご紹介したいと思います。

フィッシュ系のデメリットですが、肉系のフードと比較して食いつきが悪い可能性があります。私のチワワちゃんはなんでも食べる異常食欲系の犬ですが、カツオのおやつは食べませんでした。

なので、フィッシュ系のフードを試す際には、ぜひお試しで購入することをおすすめします!!

駅前通り動物病院では医療機器を完備

血液検査機器

各種血液検査機器を完備しているため、院内で血液検査を実施できます。15分前後で結果がでるため、スムーズに治療に移ることができます。

デジタルレントゲン検査機器

デジタルレントゲンシステムを導入しているため、撮影からデータの描出まで、数分で終わるため、スムーズに治療に移行することができます。

歯科用デジタルレントゲン装置

2022年の秋に新たに歯科用デジタルレントゲンを導入しました。増加する歯周病の治療成績をより向上させるために、また客観的な情報を提供するために役立ちます。

高性能サージカルルーペ

歯周病治療などの際に、徹底的な歯周ポケットの洗浄、歯石除去やより質の高い治療を実現するために2022年10月に導入。

超音波検査機器

超音波検査により、お腹の中の臓器を評価したり、心臓の構造・機能を評価したりすることができます。プローブを当てるだけなので、痛みもなく動物たちのストレスを最小限に検査ができます。

内視鏡装置

犬の場合、内視鏡は全身麻酔をかける必要があります。しかし、お腹を開けることなく、食道、胃の中、十二指腸などを観察することが可能です。また、鼻の中や、喉の奥も観察することが可能です。

歯科用ユニット

3歳以上の犬の70-80%が歯周病と言われています。そのような背景の中、当院では歯周病の治療に力を入れています。より短時間で歯周病治療を実施できるように歯科用ユニットを導入しています。

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