【獣医師が執筆】犬が血尿をしたらすぐに動物病院を受診したほうがいい理由

東大宮にある駅前通り動物病院では、日々血尿で来院される患者さんの治療を行っています。血尿自体は、様々な原因で起こりますが、一番多い理由は膀胱炎です。

しかし、膀胱炎以外にも膀胱結石や、膀胱腫瘍など外科的な治療が必要な病気もあります。

そこで、今回は犬の血尿の原因について、解剖学的な部位別に解説していきたいと思います

目次

犬の尿路系の解剖は?

犬の女の子の場合

犬の女の子の尿路系の解剖学的な特徴は、尿道が短いことです。おしっこをためる膀胱からおしっこの体外への出口である尿道口までの距離が非常に短いです。

そのため、男の子よりも細菌性などの感染性膀胱炎になりやすいです。

犬の女の子の尿路系の解剖

尿道以外の構造に関しては、男の子と女の子で違いはありません。

犬の男の子の場合

犬の男の子の尿路系の解剖学的な特徴は、前立腺があること、尿道が長く陰茎骨があることです。

男の子の尿道には前立腺が尿道を取り巻くように位置しています。そして前立腺は尿道とつながっているため、男の子では前立腺の病気でも血尿がでます。(去勢している場合には少ない)

犬の男の子の尿路系の解剖

犬の腎臓・尿管が原因の血尿

腎臓・尿管が原因の血尿についてですが、臨床的に遭遇する頻度はそこまで多くありません。その原因ですが、私の場合、腎臓の感染症と結石が主です。

腎臓・尿管が原因の血尿の場合、排尿回数の変化はありませんが、おしっこの色の異常として発見されることが多いです。

感染症であれば、培養検査等に提出し、抗生剤治療が主になります。感染症の場合、発熱や食欲低下を伴うことが多いです。

腎結石に関しては、腎機能に異常がなければ、あえて摘出する必要性は低いと思います。腎結石で血尿以外の症状が出ている犬に遭遇したことは今まで経験ありません。私自身は、腎臓結石で手術対応になった犬はまだ経験がありません。

腎臓の腫瘍は数例経験がありますが、いずれも症状はありませんでした。偶発的に発見された子のみです。

いずれの原因でも、診断にはレントゲン検査、腹部エコー検査がないと異常を発見できません

犬の膀胱が原因の血尿

犬の膀胱が原因の血尿ですが、女の子と男の子で若干異なります。

女の子の場合、細菌性の膀胱炎が多い

・共通して多いその他の膀胱炎の原因は膀胱結石によるもの

・男の子の場合、前立腺の病気でも血尿がでることに注意!(去勢していれば、前立腺がん以外はほぼならない)

・高齢の犬では、膀胱のがんでも血尿が出ることがある。改善しない膀胱炎や血尿では注意!

膀胱炎の症状(血尿、何回もトイレに行く、少ししか尿が出ない、トイレに失敗するなど)であっても、単純性の膀胱炎以外の原因(腫瘍や結石など)のこともあります。

膀胱結石はストラバイトといい食事療法で溶ける可能性が高いものとシュウ酸カルシウムといい食事療法で溶けず、外科的な治療が必要なものがあります。

膀胱結石の食事管理で悩んでいる方は以下の記事も参照にしてください。

臨床的には、細菌性の問題が一番多いですが、一部別の原因の膀胱炎があるため、私は尿検査に加えて、膀胱のエコー検査を実施するようにしています。

犬の尿道・前立腺が原因の血尿

犬の尿道の異常によっても血尿が出ることはあります。女の子の場合、尿道が太くて短いこともあり、尿道が原因で血尿をしている犬に出会ったことはありません。

男の子の場合、尿道に結石が詰まったことで血尿が出ている犬に遭遇したことは何度か経験があります。この場合、尿道に詰まっている結石を早急に除去しないと命に関わります

ほとんどの場合、尿道からカテーテルを挿入し、水圧で膀胱に押し戻すことでつまりを解除します。しかし、膀胱内にその結石が残っていると再度詰まる可能性が高いため、外科的な治療をおすすめしています。

男の子の場合、尿道に結石が詰まるほかに、前立腺の存在を忘れてはいけません。

未去勢の男の子の場合、年齢を重ねるごとに前立腺肥大や前立腺炎のリスクが上がります。前立腺で感染が起きると血尿が出たり、熱が出たりと元気・食欲も低下します。

前立腺炎は最悪死に至る可能性もあるため、早急な治療が必要な病気です。治療は主に、抗生剤、前立腺を小さくするホルモン剤の投与によって行われます

ホルモン剤は1度はよく効きますが、徐々に効果が薄れてきますので、再発のリスクを減らすには去勢手術をおすすめしています。

まとめ

・犬の血尿の原因は様々。解剖学的な分類でいうと膀胱が原因の血尿が一番多い

・遭遇する頻度が多いのは、細菌性の膀胱炎や膀胱結石による膀胱炎

・細菌感染や食事療法などの内科的な治療で反応することが多いが、溶けない結石の場合、手術が必要

・犬の血尿の原因は様々。尿検査だけでなく、レントゲン検査、エコー検査を実施することで診断精度の向上、早期の適切な治療につながります!

犬の血尿自体はそこまで珍しくない異常です。しかし、ときには手術が必要だったり、がんだったりと大変な場合もあります。そのため、犬が血尿したら元気や食欲があっても必ず動物病院に連れて行き、尿検査、エコー検査を受けるようにしてくださいね!

駅前通り動物病院では医療機器を完備

血液検査機器

各種血液検査機器を完備しているため、院内で血液検査を実施できます。15分前後で結果がでるため、スムーズに治療に移ることができます。

デジタルレントゲン検査機器

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2022年の秋に新たに歯科用デジタルレントゲンを導入しました。増加する歯周病の治療成績をより向上させるために、また客観的な情報を提供するために役立ちます。

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超音波検査により、お腹の中の臓器を評価したり、心臓の構造・機能を評価したりすることができます。プローブを当てるだけなので、痛みもなく動物たちのストレスを最小限に検査ができます。

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犬の場合、内視鏡は全身麻酔をかける必要があります。しかし、お腹を開けることなく、食道、胃の中、十二指腸などを観察することが可能です。また、鼻の中や、喉の奥も観察することが可能です。

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3歳以上の犬の70-80%が歯周病と言われています。そのような背景の中、当院では歯周病の治療に力を入れています。より短時間で歯周病治療を実施できるように歯科用ユニットを導入しています。

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