健康な子でも年に1回フィラリアシーズンに血液を受ける子は多いと思います。犬は1年で人間に換算して4歳年をとると言われていますので、1年に1回も受けていない方は是非、来シーズンは受けてみてください!!
その血液検査で肝臓の数値を測定することは多いと思います。そこで、肝臓の数値が悪いと言われた際に知っておいてほしいことを今回は記事にしてみました。
勘違いしないで欲しいことは、「肝臓の数値が悪い≠肝臓が悪い」ということ。これは口うるさく説明するようにしています。
「肝臓が悪い」犬は圧倒的に少ないので、ご安心下さい!!
肝臓の数値が悪いを具体化しよう
血液検査測定する肝臓関連の項目はたくさんあります。以下に列挙してみたいと思います。
※( )内は肝臓の機能が低下している場合の変化を示しています
・AⅬT
・AⅬP
・AST
・GGT
・コレステロール(低くなる)
・ビリルビン(高くなる)
・グルコース(低くなる)
・アルブミン(低くなる)
・尿素窒素(BUN)(低くなる)
・TBA(高くなる)
・BTR(低くなる)
・凝固検査(延長する)
・アンモニア(高くなる)
緑の下線の4つの項目は「肝細胞で産生・漏れ出る」酵素であり、肝細胞の障害や炎症の程度を示しています。
緑の下線の4つ以外の項目は「肝臓の機能」を反映しています。
つまり、「肝細胞の障害≠肝臓機能異常」ということです。肝臓の酵素が高い犬は多いですが、肝臓の機能が悪い犬の方が圧倒的に少ないです。
そして、肝細胞の障害があって肝臓の酵素の数値が高くても、肝臓の機能に問題がないことは多々あります。逆に、肝臓の酵素は正常範囲内なのに、肝臓の機能が低下している場合もあります。
肝臓の機能低下に関しては、別の記事で詳しく解説していきます。
肝臓の酵素が高い➡肝細胞障害や炎症などを示唆
肝臓の機能の低下➡項目により高くなったり、低くなる
肝臓の酵素が高かったら考えること
まったく正常に見える犬でも「肝臓の酵素が高い」ことは多々あります。いくつかのケースに分けてお話していきます。
避妊・去勢手術等の麻酔前検査でAⅬT、AⅬPが高かった場合(生後6か月~)
成長期に伴う一過性の上昇、もしくは先天的な肝臓の機能障害の可能性がある
➡追加で肝臓の機能検査、腹部レントゲン(肝臓の大きさを評価する)、腹部エコー検査(肝臓の大きさ、形、胆のうの有無、異常な血管の有無を確認)を実施する
※症状はありませんでしたが、精密検査で先天性の門脈異形成という病気の患者さんがいました。
1歳未満での血液検査では異常なし。1歳以上で健康な犬でAⅬT、AⅬPが高かった場合
上昇の程度が正常値の2倍程度くらいまで➡病的ではない可能性が高い。そのため、数か月後に再チェック。おやつ等を低脂肪なものに変えてもらう、ウルソ等を試験的に投与してみるなど。経験的にはこのパターンが一番多い。
数か月後も高い場合には、肝臓の機能検査、腹部エコー検査推奨
この頃から胆のう内に泥(胆泥)がたまってくることがあるので、併せてチェック!!
5歳以上の健康な犬でAⅬT、AⅬPが高かった場合
症状がない場合でも、何らかの異常を反映している可能性あり➡少なくとも肝臓の超音波検査は実施。
軽度の肝臓の酵素上昇があり、腹部エコーをしたところ肝臓の腫瘍を発見した経験あり。肝臓の酵素が上昇しない肝臓腫瘍もあります。
※症状があって肝臓の酵素が高い場合には、現在進行形の肝臓疾患の可能性があります。すぐに全身的なスクリーニング検査を受けることをおすすめします。
症状がなくても異常のサインかもしれないことがあるので、ぜひ先生と相談してみてください!!
肝酵素の上昇にサプリメントは効果ある?
軽度の肝酵素の上昇に対してのアプローチはたくさんあります。もちろん、血液検査、画像検査等で明らかな異常がないことが前提ですが。
正常範囲を超えることに不安や心配を感じるご家族も多くいらっしゃいます。そのような場合に、肝臓に良いとされているサプリメントは一つの解決策になります。
肝酵素上昇等に対して、獣医師専用で動物病院で出すサプリメントも多々ありますが、なぜかインターネットで購入できてしまいます。
いいか悪いかは別として、一獣医師・飼い主としては、ある程度の効果が見込める成分が入っているかどうかを重要視しています。
もちろん何となくよさそうな成分を含んでいる商品はたくさんあります。しかし、気軽に始められるという要素も大切です。
「サプリメントありすぎてわからない」等のご相談はぜひ動物病院で聞いてみて下さいね!!
肝臓の酵素が高い犬や、肝機能が低下している子にアンチノールを与える際の注意事項を書いていますので、ぜひ一読くださいね!
肝臓のエコー検査でわかること
「肝臓の酵素が高い」と言われたら、肝臓のエコー検査を受けてみましょうと先ほど書きましたが、肝臓のエコー検査で我々が確認しているポイントをお伝えします。
・肝臓の大きさや形(特に辺縁の形)
➡肝臓が小さい病気(小肝症)、肝臓が大きくなる病気(肝腫大など)
・肝臓の内部構造
➡肝臓の内部にできものや液体貯留などがないか(肝臓腫瘍や肝膿瘍、のう胞の有無)
・肝臓のエコー源性
➡脂肪肝の場合高くなる、その他腫瘍、過形成等で低くなる
・胆のうの有無、胆のうの構造
➡胆汁の流動性、胆石、胆のう内腫瘍の有無の確認
などなど。
ちなみにエコー検査で異常はないけど、肝臓の酵素が高い犬はたくさんいます。その場合、上記で書いたように食生活を変えてみてもらう(低脂肪食をメインに)、肝臓の働きを助けるウルソなどの薬を内服してみることが多いです。
まとめ
・肝酵素の上昇≠肝臓が悪いであること
・肝酵素上昇≠肝臓機能の異常であること
・肝臓の酵素が高いと指摘されたら、必要に応じて肝臓機能検査、腹部レントゲン、腹部エコー検査を!
・症状がなくても肝臓の酵素が高い犬は結構いる!
・血液検査で反映されない肝臓の病気もあるので、要注意!!
私が一番伝えたいことは、「肝酵素の上昇≠肝臓機能の異常」であることです。「肝臓が悪い」という表現はすごく曖昧なので、必ず具体化するようにしましょう!!
肝臓の数値上昇を指摘された、肝臓の数値が高いけどどうしていいかわからないなど、不安な方はぜひ動物病院に相談してくださいね!
駅前通り動物病院では医療機器を完備
血液検査機器
各種血液検査機器を完備しているため、院内で血液検査を実施できます。15分前後で結果がでるため、スムーズに治療に移ることができます。
デジタルレントゲン検査機器
デジタルレントゲンシステムを導入しているため、撮影からデータの描出まで、数分で終わるため、スムーズに治療に移行することができます。
歯科用デジタルレントゲン装置
2022年の秋に新たに歯科用デジタルレントゲンを導入しました。増加する歯周病の治療成績をより向上させるために、また客観的な情報を提供するために役立ちます。
高性能サージカルルーペ
歯周病治療などの際に、徹底的な歯周ポケットの洗浄、歯石除去やより質の高い治療を実現するために2022年10月に導入。
超音波検査機器
超音波検査により、お腹の中の臓器を評価したり、心臓の構造・機能を評価したりすることができます。プローブを当てるだけなので、痛みもなく動物たちのストレスを最小限に検査ができます。
内視鏡装置
犬の場合、内視鏡は全身麻酔をかける必要があります。しかし、お腹を開けることなく、食道、胃の中、十二指腸などを観察することが可能です。また、鼻の中や、喉の奥も観察することが可能です。
歯科用ユニット
3歳以上の犬の70-80%が歯周病と言われています。そのような背景の中、当院では歯周病の治療に力を入れています。より短時間で歯周病治療を実施できるように歯科用ユニットを導入しています。
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